3M™微細セルポリウレタンフォーム

デジタルレーザー加工(DLMP®)技術を使用した3M微細セルポリウレタンフォームの加工

3M™微細セルポリウレタンフォーム製品は、熱硬化性のあるマイクロセルPUフォームから構成され、裏面に接着剤がついているものとそうでないものがあります。これらの製品は、非常に低い永久圧縮ひずみを持ち、優れたクッション性、密閉性および防振性を示します。しかし、開放気泡構造のため、ガスおよび蒸気が材料を通過してしまいます。この製品を3Mの接着剤で裏打ちすると、広い温度範囲で高い初期粘着性と優れたせん断強度を示します。


このフォームは、高性能ガスケットおよびシーリング用途向けに設計されていますが、消音および防振の目的で自動車、航空宇宙、電子および医療産業でも使用さています。


3Mポリウレタンフォームは、240kg/m3および320kg/m3の密度で、厚さ1.59 mmから12.7 mmで生産されます。接着剤なし、または様々な接着剤の厚さ、キャリア、およびライナー付でも入手可能です。3M PUフォームはすべて黒です。


関連名称

3M™ 120XX プレミアム ポリウレタン フォーム


化学名

該当なし


製造会社

3M


3M™ポリウレタンフォームおよびDLMP®技術

3MポリウレタンフォームをDLMP技術で容易に加工するための重要な要素は、比較的低密度で熱硬化性の化学物質であることです。この特性が、どのようにデジタルレーザー材料加工(DLMP)技術の結果に影響を及ぼすかについては、以下の欄で詳しく説明します。3Mポリウレタンフォームとレーザーエネルギーの最も有用な効果は、素材アブレーションです。3Mポリウレタンフォームの場合、レーザー切断および彫刻が適用可能です。各加工については、以下の各欄で説明します。


レーザー加工白書

ギャラリー

素材のアブレーション

素材アブレーションは、素材を除去する物理的プロセスです。材料を上面から底面まで完全に除去するか、または上部から特定の深さまで部分的に除去します。


ポリウレタンはCO2レーザーエネルギー(波長=10.6μm)の優れた吸収体です。ポリウレタンがレーザーエネルギーを吸収すると、急速に光エネルギーを分子振動(熱)に変換します。このタイプのポリウレタンは熱硬化性なので、十分な熱により急速な化学分解を誘導します。レーザパス内にある素材は、蒸気と微粒子となりきれいに除去されます。


この理由から、CO2レーザーはポリウレタンフォームのレーザーアブレーションに一般的に使用されています。レーザーのスポットまたはパスのすぐ外側の材料は熱を伝導しますが、完全かつ徹底したアブレーションには不十分です。熱の影響を受けるこの領域は、しばしば「熱影響域」またはHAZと呼ばれます。3Mポリウレタンフォームの場合、低密度発泡体構造では、切断や彫刻に大きな熱負荷を必要としないので、実質的にHAZは生成されません。さらに、ポリマーは熱硬化性であるため、溶解せずに熱に耐えることができます。

レーザー切断

レーザー切断は、決められたパスに沿って素材を表面から底面まで完全除去をして分離します。


3Mポリウレタンフォームは、その高い使用温度と低密度により、バルク材料からきれいにアブレーションされます。レーザー切断でできたこのエッジは滑らかで、時々発生する熱可能と関連する変色もありません。これは、以下の3Mポリウレタンフォームからの厚さ0.25インチ(6.35mm)のひし形のレーザー切断例で実証されています

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この製品のレーザー切断は、残渣がほとんど発生せず、ほとんどの場合そのまま使用することができます。より厚みのある部分については、濡れた布で残った固形物を拭き取ることができます。ここに示された基本能力は、たとえ複雑で密接配置の切断であっても、ほぼすべての形状にまで広げることができます。


接着ライナーと一緒に使用する場合は、部分切断も可能です。部分切断は選択的切断の一種であり、それによって材料の最上層は完全にアブレーションされ、最下層は手つかずのまま残ります。これは、レーザーが作業領域全体にわたって精密に変調させることができるから可能なのです。次の3画像は、3Mポリウレタンフォームにどのように部分切断加工を適用するかの方法を示す例です。目的の形状のフォームおよび接着剤は剥離されますが、ライナーはそのまま残ります。


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レーザー彫刻

レーザー彫刻とは、素材を表面から特定の深さまで除去する加工です。これは、レーザー変調を厳密に制御することで可能になります。レーザー出力を連続的に変化させることで、テクスチャ、写真、およびテキストや数字などの情報にレーザー彫刻を使用することができます。この例は、どのようにレーザーエネルギーを制御して、制御された深さまで材料除去をおこなうかを示しています。3Mポリウレタンフォームは、きれいに切断できるのと同じ理由で、変色や融解なしできれいに彫刻することができます。

ひし形のレーザー切断チャンネルを施した3M™微細セルポリウレタンフォーム
レーザー彫刻で作製した3.9×2.4インチ(99×61mm)のチャンネル

レーザーマーキング(深)

レーザーエネルギーを使用して、人も機械も判読可能なIDまたは情報(バーコード、日付/ロットコード、シリアル番号、または部品番号など)を材料に入れる場合、加工として考えられるのは、深さのあるレーザーマーキング、またはレーザー深さマーキングですが、これらは本質的に材料に彫刻します。本例の画像は、レーザー深さマーキングを使用した3Mポリウレタンフォーム上のシリアル番号を示しています。

シリアル番号を深彫りレーザーマーキングした3M™微細セルポリウレタンフォーム
レーザー深さマーキングを使用した3Mポリウレタンフォームにシリアル番号、24ポイントフォントサイズが適用された

複合加工

3Mポリウレタンフォームには複数の加工を適用でき、材料を移動したり再固定したりする必要はありません。この画像は、加工をどのように組み合わせると、3Mポリウレタンフォームをシートストックから切断したり、材料にひし形を彫刻したり、シリアル番号を彫刻したりできるかを示しています。

ひし形のレーザー切断を施した3M™微細セルポリウレタンフォーム
5インチ×3インチ(127×76mm)のレーザー切断した0.25インチ(6.35mm)のひし形の形状

環境、健康および安全に関する考慮事項

レーザー素材の相互作用は、ほとんどの場合、ガス状流出物や粒子、またはその両方を発生します。この製品は熱硬化性ポリマーがベースになっており、材料は溶融または沸騰するのではなくカルバミン酸メチルに化学的に分解されます。気相流出物も生成され、これはほぼ一酸化炭素から成っています。これらのガスおよび微粒子は、政府の規制に従って外部環境に排出しなければなりません。あるいは、最初に流出物をフィルターシステムで処理してから外部環境に排出することもできます。一部の材料は、レーザー加工中に可燃性の副生成物を生成する傾向があります。したがって、レーザー加工は常に監視されていなければなりません。